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2014.10.31

映画のはなし。

最近見た映画について書いてみます。
「舟を編む」
辞書編集という途方もなく時間のかかる工程をテーマにしたもの。
言葉集めから、解釈編集、五稿までくり返される校正。
一つの辞書が出来るのに何年もかかるそうで、
考えるだけで気が遠くなります。
主人公の松田龍平扮する「まじめくん」は、人と話したり関わるのが苦手。
辞書編集を通して「言葉は相手に気持ちを伝えるためにある」
ということを知り、好きな人に自分の言葉で告白します。
ていねいにひとつ一つ言葉と向き合う姿に
言葉を仕事にする者として身のひきしまる思いがしたし、
辞書をゆっくりめくりたくなりました。
映画の中で編集者が自分の言葉で語彙解釈をするシーンがあって、
素敵だったのでご紹介。
ださい 【ダサい】
(1)格好悪い。
用例:酔った勢いでプロポーズするなんてマジでダサい
こい 【恋】

(1)ある人のことが好きになり、四六時中その人のことを考え、
ほかのことが手につかなくなること


(2)成就すれば、天にも登る気持ちになる
「ニュースの天才」
アメリカの権威ある出版社の、新進気鋭の売れっ子ライター。
才能と人間的魅力に溢れた彼の記事が、実はすべて捏造だった。
アメリカで実際に起きた「スティーブン・グラス事件」が元になっていて、
真実が暴かれ、主人公が追いつめられる様は痛快であると同時に
サスペンスを観ているような怖さを感じます。
観賞後、主人公は何のためにこんなことしちゃったんだろう、
周りはなぜ気づかなかったのだろうと考えるわけですが、
この事件、日本でも話題になっているSTAP事件と
構造がまったく一緒なんですね。
人間がくりかえしてしまう弱さ、
深い闇についても考えてしまいました。
事実の追求と、事実をでっち上げてしまうこと。
同じ時期にたまたま
正反対の2本を観るということは、
何かを学べということだったんでしょかね。
セレンディピティを感じてしまいました。

Author : matsuoka